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「入れ歯」・「ブリッジ」・「インプラント」

虫歯や歯周病で失った歯を回復するには、「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」の3種類の方法があります。患者さんにとってはどの方法を選択しようかと迷うところですが、今回はそれぞれのメリット・デメリットをあげて皆様の判断の参考にしていただければと思います。

≪入れ歯≫

  メリット デメリット
入れ歯全般

①取り外しができる。
②ほんの少ししか歯を削らなくて済む。
③治療が比較的容易。

④治療期間が短い。

①歯に固定しないため、ブラッシング時や食後に外して洗わなければならない。
②固定しないため噛んだ時の動きに違和感がある。
③異物感が大きい。
④噛む力が天然の歯に比べて
部分入れ歯:30%~40%
総入れ歯:10%~20%
と弱い。
⑤入れ歯の部分の骨が徐々に減る。
⑥入れ歯に歯垢がつく。

⑦餅やガムがつくことがある。
保険診療  

部分入れ歯の場合
①バネが見えるために入れ歯とわかってしまう。
②残っている歯にバネをかけるため負担が大きく歯の動揺の原因となる。

総入れ歯の場合
③プラスチックを多く使うために、どうしても分厚くなり口の中が狭くなる。
④プラスチックのために入れ歯臭が出る。
⑤プラスチックのために熱を通さず味を感じにくい。

⑥プラスチック部分の色が変色する。
自費診療

部分入れ歯の場合
①バネを使わない入れ歯ができるようになり入れ歯と分かりづらい。

総入れ歯の場合

②機能的で見た目がより自然な入れ歯を選ぶことができる。自費の場合はプラスチックと違い、入れ歯が薄く軽く作れて口の中が広く使える。
 


≪ブリッジ≫

  メリット デメリット
ブリッジ全般

①セメントで固定するため、入れ歯のように取り外しの必要がない。
②外科的治療の必要がない。
③装着しても違和感がない。
④噛み心地は天然の歯と変わらない。

⑤治療期間が短い。

①人工の歯と歯茎の間に食べ物が詰まりやすい。
②抜けた歯の両隣の歯を削らなければならない。
③削った歯が虫歯になると全てをやり直さなくてはならない。
④支えになる歯に大きな力が加わり、その歯を失う可能性がある。

保険診療 ①保険適用範囲なら安価である。

①保険診療では制約がある。
例えば…
上の歯の場合
前歯で連続3歯欠損まで(犬歯除く)
奥歯では連続2歯まで


下の歯の場合
前歯で連続4歯欠損まで(犬歯除く)
奥歯で連続2歯まで

(これ以外にも保険制約があるので主治医とご相談ください。)

 

②白い部分がプラスチックのため変色する。
自費診療

①見た目の印象が良くなる

②白い部分が変色しない。
 


≪インプラント≫

 インプラント治療とは、歯のない場所にチタンでできた人工の“歯の根”にあたるインプラント体を顎の骨に埋め込み、そこに人工の歯をかぶせて欠損部分を補う方法です。

メリット デメリット

①残っている歯を削らなくてもよく、健康な歯に負担をかけることのない唯一の治療法。
②見た目は天然歯とほぼ変わらず美しくできる。
③噛む力はほぼ天然歯と変わらない。
④顎の骨にインプラントが定着すると非常に安定性がよく、歯周病に気をつければとても長持ちする。
⑤味覚は天然の歯と変わらない。

①インプラント体を顎の骨に埋め込むための手術が必要である。
②インプラント治療は、顎の骨の幅や厚さが必要であり出来ない人もおられる。
③歯磨きが上手く出来ず、歯周病を発症する可能性がある人には不向きである。当院では歯磨きを練習して頂くことになる。
④治療期間が長くなるが、治療回数は他の治療と比較してもそれほど変わらない。
⑤保険適応外のため治療費が他の治療方法と比べて高額となる。

 歯が悪いと自覚していても、普段は痛みがなく何となく噛めている為にそのまま放置している方も多いのではないでしょうか? 痛みを伴う治療を億劫に思う人もおられると思います。でも、歯を失ってからでは遅いので少しでも早い治療をお勧めします。
 また、歯を失ったままにしておくと、噛むときに他の歯に余分な荷重がかかってしまい健康な歯まで悪くなってしまいます。そのために噛みにくくなってあわてて歯医者に来られる方もおられます。年齢を重ねても美味しい食事を頂けることは、皆さんが健康に生活をするためにはとても重要なことです。治療方法もいろいろありますので、歯医者さんと相談して治療してみてはいかがでしょうか?




(2018.12.5[Wed])

根管治療とは何でしょう?

 根管治療とは、簡単にいうと…「歯を残すために傷んだ神経を取り除き、その取り除いた神経の穴に薬を入れる治療のこと」です。この根管治療は、歯の土台の治療で、家を建てる場合の基礎工事と言えます。この基礎工事がその歯の一生を左右してしまう…それほど重要な治療です。
 歯根がしっかりしていれば、それを土台に歯を作ることができます。勿論、この根管治療は歯を削る必要もあり時間がかかります。そのため、根管治療を嫌がられる患者さんも多く、長い期間放置してしまい結果的に歯を失う例をよく見ます。そうした状態になってから、歯の治療の大事さに気がつくのです。皆さんが将来入れ歯などに頼らずにすむためにもこの治療することはとても大事なことです。 
 私は「根管治療が歯科の治療の中でも一番大事な治療」だと考えています。

 では、その根管治療とはどのような治療なのでしょうか?
歯には、神経が入っている穴があります。この神経が死ぬと腐敗し、そこに嫌気性菌(酸素を必要としない菌)が繁殖しやすい環境となります。また、神経が死ぬとそこに血液が流れないために、その細菌を殺すことができません。その結果、根尖(歯の根の先端)に膿が出来てしまいます。この菌は、虫歯菌や歯周病菌とは全く違います。
 根尖の膿の袋が大きくなると、以下のような症状が出ます。

◇ 根尖部の骨を溶かして膿(根尖病巣)を作ります。この根尖病巣が次第に大きくなると顎の骨を溶かし隣の歯に達するまで大きくなります。
◇ 上の歯の臼歯部(糸切り歯から奥歯まで)だと、根尖病巣が副鼻腔(上顎洞)の壁を突き破り、歯が原因の蓄膿症になることもあります。
◇ 下の臼歯部だと、根尖病巣が唇の知覚などを支配する下歯槽神経まで達して、唇の感覚がおかしくなることがあります。

そのため、それを防ぐために神経が腐敗した根の穴の中を人工的に埋める必要があります。つまり、そこに薬を入れて神経の通っていた穴を密閉し、嫌気性菌がさらに繁殖できない環境を作ります。これが根管治療です。



 根尖病巣が大きく根管治療が難しい場合は以下の2通りの治療方法があります。
・ 外科的に歯を抜歯し同時に膿を取り除く方法
・ 歯根端切除術の方法。歯根端切除術とは、歯茎を切り歯の根の病巣に汚染された根尖と共に膿を除去する方法です。この場合抜歯はしません。

 さて、根管治療をおこなう原因とはなんでしょうか?

1. 虫歯が深く、神経を抜いた時
2. 歯が欠たり割れたことが原因で、神経を抜いた時
3. 神経の炎症で歯が痛くなって神経を抜いた時
4. 歯の神経が死んだ時
5. 過去の根管治療の予後が悪く、根尖病巣(根の先端の骨の中の膿)ができ、再治療が必要な時 
6. 歯槽膿漏が原因で、根っこの先から神経が侵された時

根管の中で細菌の増殖が活発になってくると、根っこの先の骨が溶けて膿が溜まってきます。上記の原因により、神経が炎症を起こし死んでしまうと根管治療が必要となります。



 さて、皆さんの中には歯医者で一度この根管治療をしたのにもかかわらず、しばらくしてまた「膿が溜まっている」と言われた方がおられると思います。それには理由があります。
 歯の根の穴は、人により様々な形していて、湾曲している・分岐するなど非常に複雑な形態をしています。個人の場合でも左右の同じ部位の歯の根の形が同じ形態をしていないことも多くあります。歯の根が曲がっている場合は、それに伴って神経の穴も曲がっているため薬を入れにくく密閉しにくいため、できるだけ根の穴をまっすぐにします。完全にまっすぐにはなりませんが、こうして薬を詰めやすくすると同時に、その根の中を薬の詰め残しがないようにするのです。こうして、根の穴を薬の規格のサイズの大きさに合わせて拡大後、そこに薬を入れて密閉し、再び細菌の繁殖が起きないようにします。しかし、根の先端まで薬が届かず空洞が残っている場合に根尖病巣ができることが多いのです。つまり、神経の穴に薬を詰めきれず根の先端まできっちり密閉されないため、その空洞に嫌気性菌が繁殖し再度膿が溜まってしまいます。




 このような時に、再根管治療を行います。歯に詰めた薬を全部取り除き、新たに根尖まで薬を詰め直しますが、この“以前に詰めた薬を取り除くこと”が非常に難しいのです。




 しかし、この根管治療は歯を残すために「とても大事な治療」です。たとえ虫歯で“見えている歯の部分”がなくなったとしても、歯根がしっかり残せるときは、きちんと根管治療をして歯根さえ残していれば、 白い歯の部分を自由に作り人工の白い歯を自分の歯として残せます。しかし、痛みがそれほどない…腫れが引いてしまった…などの理由で、歯のどこかが悪いことは分っていながらも長期間放置してしまい、結局その歯を抜かなくてはならなくなる患者さんが多いのです。また、歯根の治療は一回の消毒では終わらないことがあります。この消毒が不十分だと膿が再度溜まってしまい、さらに悪化してしまう原因になります。

 確かに痛みを伴う歯の治療は嫌なものですが、「歯茎が腫れる」「歯が傷む」などの症状があるときには、ご自身のために是非歯医者さんに行ってみましょう!




(2018.4.12[Thu])

超酸性水の効果 ~感染予防と歯周病予防などのため~

 今回は当院で使用しています「超酸性水」についてお話しします。超酸性水はお口の殺菌水です。虫歯菌や歯周病菌をやっつける高電位水で、
  ・PHが2.4~2.5以下(水はPH7.0)
  ・残留塩素濃度は、10~50ppm以上
  ・酸化還元電位は約1100mv以上の水で、
   歯槽膿漏のホームケア―にも有力です。

 人の口の中には、虫歯菌(ミュータンス菌など)歯周病菌など400~500種類の細菌がいると言われています。この超酸性水の効果は以下の通りです。
 *口腔内の細菌・ウィルス(ヘルペスウィルス・
  B型肝炎・C型肝炎ウィルスなど)・カビ(真菌・カンジダ)などの
  細胞膜に作用して瞬時に細菌やウィルスなどを死滅させる。
 *口臭を和らげ腫れた歯ぐきを引き締める。
 *止血効果
 *傷の早期回復

などです。下の表も参考にご覧ください。



≪安全性≫
 強電解酸性水の安全性は、動物を使った試験では北里大学、(財)食品薬品安全センターなどの調査がなされ安全であることが報告されています。
試験試験結果
経口投与毒性試験毒性なし
眼刺激性試験刺激性なし
累積皮膚刺激性試験刺激性なし
復帰突然変異試験変異原性なし


≪口腔内応用の可能性≫
 残留塩素濃度の高い強電解酸性水は口腔内金属を腐食させてしまったり、歯牙脱灰によって知覚過敏を進行させたりする弊害もありますが、定塩素濃度の強電解水の場合、これらの弊害も無くプラーク抑制効果、歯槽膿漏の改善などの応用効果が、大阪歯科大学での実験結果で報告されています。

 当医院では院内感染予防・歯周病の予防のためにも超酸性水を活用しております。超酸性水の活用は以下のようなときに使用しています。
・手指の消毒
・機械器具の消毒
・歯石取り後のうがい
・歯周ポケットの洗浄
・歯の神経を抜いた後
・歯の根の先に膿ができたとき等…根幹治療時の消毒
・歯周病の予防

 この超酸性水を歯周病の予防のために自宅に持って帰られる患者さんもおられます。500mlの専用の黒いボトルに入れ冷蔵庫で約1ヶ月保存できますし、この黒いボトルは洗って持ってきていただければまた超酸性水を持って帰っていただけます。ご興味のある方は是非ご相談ください。(注:黒いボトルは¥200円、超酸性水は一回¥50円のご負担をお願いしております。)



(2017.12.27[Wed])

歯の細胞バンクのお勧め ~皆様の将来のために

 医学は日進月歩で進化しています。今の時代、自分自身を守るために、再生医療という最先端の治療を普通に利用ができるようになってきました。再生医療では先端を走っているIPS細胞が有名です。このIPS細胞は色々な細胞に成長させて病気の治療を行います。

 同様に歯の細胞を使う方法があります。皆さんも自分のために…ご家族のために…考えてみてはいかがでしょうか? 特に小さいお子さんの場合は抜けていく乳歯を使うことができるので負担はかからないのではないでしょうか?

 歯髄とは、歯の中にある柔らかい組織のことです。歯に栄養を与える血管や、痛みを感じる神経が入っています。また組織を作るもとになる細胞である「幹細胞」も含まれています。歯髄幹細胞とは、自分の歯・乳歯・親知らず・矯正などで抜歯した歯の歯髄の中にあるものです。自分の歯髄の中にある歯髄幹細胞を使うことで、自分自身に対して拒絶反応がなく安全に使用することができます。またなぜ歯の「神経の中にある歯髄幹細胞」を使うかというと、歯髄幹細胞は分裂する能力が非常に高く短期間に同じ細胞を増殖させることができ、骨・脂肪・神経などの細胞に変身することができます。





歯髄細胞を用いた再生医療には、
 歯科疾患: 虫歯・歯周病・歯の欠損
 神経疾患: 脊髄損傷・脳梗塞 
 筋疾患:  心筋梗塞・筋ジストロフィー
 臓器疾患: 糖尿病・肝硬変・肝線維症
 その他:  角膜欠損・毛包欠損・下肢虚血・血液疾患
等の様々な病気の治療にも使えるようになるでしょう。


 今のうちのあなた、またお子様などご家族の歯髄細胞を保管することをお勧めします。これからの医療は進化していき、30年・40年先はこれらのことが当たり前の治療につながるのではないでしょうか。本当に夢のようですね。


歯の細胞バンクQ&A(よくある質問)


Q.どんな歯の歯髄細胞を預けることができるの?
A.歯の細胞バンクに預けられるのは、抜歯が必要と診断された乳歯や大人の歯(永久歯)です。大人の歯の場合は、斜めに生えている親知らず(智歯)や、矯正治療のために抜く小臼歯などです。

Q.家や学校で歯が抜けたらどうするの?
A.歯科医院で抜いた歯でなければ、歯の細胞バンクに預けることはできません。かならず歯科医院で認定医の先生に歯を抜いてもらうようにしてください。

Q.むし歯や歯周病の歯は使えるの?
A.歯の細胞バンクには使えません。むし歯や歯周病の歯にはたくさんの細菌がいるため、歯髄細胞が死んでいたり、培養したときに細菌感染を起こしてしまいます。

Q.頑張って親知らずの歯周病を治しました。歯の細胞バンクに使えるの?
A.はい、使えます。歯周病を治した細菌がいない親知らずであれば、歯の細胞バンクに預けることができます。認定医の先生と相談してください。

Q.何歳の歯まで使えるの?
A.特に年齢制限はありません。治療のために抜くむし歯や歯周病のない歯であれば、何歳でも預けることができます。しかし、より年齢が若いときの細胞の方が元気で活きがいいので、将来の再生医療には有利です。

Q.歯は全部きれいですが、親知らずは昔抜いてしまいました。歯の細胞バンクのために他の歯を抜いて使えるの?
A.いいえ、使えません。本バンクは、抜く必要なない歯の歯髄細胞を預かることはできません。あくまで治療のために親知らずや小臼歯を抜いた際に、その歯髄細胞をお預かりするサービスです。

Q.細胞を保管できなかったらどうするの?
A.お預かりした歯の歯髄細胞を培養したときに、細胞の元気がなかったり、細胞感染を起こした場合は、細胞の保管は行いません。ただし、その際の培養処置料を含む登録保管料は頂きません。

Q.歯髄細胞はいつまで保管できるの?
A.超低温状態で保管を行うため、半永久的に保管が可能です。また、増やした歯髄細胞は、2本の凍結チューブに分けて、別々の場所に安全に保管します。

Q.保管した細胞を使った再生医療で、病気やけがを確実に治せるの?
A.残念ながら確実に治せる保証はできません。現代医療に100%がないように、再生医療も100%ではありません。ただし、再生医療は日進月歩しています。そのため、再生医療やその他の医療に発展とともに、保管した細胞の利用度が大きくなるのは確実です。

Q.1本の歯で、何回の再生医療ができるの?
A.原則は1回の再生医療に使います。ただし、個人差がありますが、細胞がたくさん増えた場合は、もう1度細胞を凍結保存して、次の病気に使うことができる場合があります。

Q.保管した細胞を家族や他人にも使えるの?
A.将来は使える可能性があります。現在はご自分の治療に使うことが前提ですが、近い将来はご家族に皆さんに使うことができるようになるでしょう。歯の細胞バンクは、まったくの他人ではなく、親子や兄弟の病気を治すことができる、身近で安全な再生医療をめざしています。



参考資料:日本歯科大学・セントラルクリニック
歯の細胞バンクパンフレットより


(2017.9.19[Tue])

虫歯菌(ミュータンス菌)と家族で行う口腔ケア ~幼児に対して気をつけること

 最近、虫歯菌“ミュータンス菌”が色々な病気の引き金であることがわかってきました。その一つは例えば脳血管性認知症です。

 脳血管性認知症とは、脳のつまりや出血などにより脳細胞が損傷するために記憶力の低下が起こる症状です。 脳出血を起こす原因の一つに、虫歯菌“ミュータンス菌”(糖分を分解する際に酸を出して歯を溶かす)の存在があります。これは日本人の4人に1人が保菌しています。

 このミュータンス菌は毛細血管から血管内に侵入し全身をめぐります。特に脳にいくと、血管に付着しやすく炎症を起こし出血に至ることがあります。ミュータンス菌には血小板の止血作用を低下させる遺伝子があるため放置すると重症化しやすく、またこのミュータンス菌はコラーゲンとくっつきやすい性質があります。歯茎・脳の血管の壁にもコラーゲンがあるため付着しやすいのです。




 ミュータンス菌を持っている人の中で脳出血をしている人は、言語機能の低下がみられ認知機能も低下しています。このミュータンス菌は「人から人への感染」でうつるものです。ですから、じか箸での取り分け・同じコップでの飲みまわしに注意してください。特に幼児と同じ食器を使用するときは十分に注意しましょう。

■予防にはどうしたらよいのでしょうか?
 食後の歯磨きは勿論のこと、半年に一度は歯科で口腔ケアをするとよいでしょう。そのときに除菌水(超酸性水・次亜塩素水など)で洗浄するとミュータンス菌はほぼ死滅します。当医院では、超酸性水を使用しています。ただ、歯周ポケット内(歯茎の内側)では、超酸性水や次亜塩素水などの除菌水の効果はありません。そのため、日々の口腔ケアはとても大切です?

■超酸性水とはなんでしょう?
 超酸性水は、口の中の細菌(虫歯菌や歯周病菌)やウイルス(ヘルペスなど)やカビ(カンジダ)などの細胞膜に作用して殺し、口臭を和らげてくれます。この結果、腫れた歯茎の引き締め・止血効果・傷の早期回復などの効果もあります。この超酸性水でうがいをした後、ブラッシングをすることも是非お勧めします。

 さぁ、夏休みも中盤になり、この暑さで疲れも出やすい時期です。こうしたときに、トラブルのある歯の歯茎が腫れるなどの症状が出ることもあります。また、ある程度の年齢のお子様でも歯石がついている例もあります。
 夏休みはよい機会なので、ご家族で“歯医者でのお口の中の点検”をしてみてはいかがでしょうか?



参考資料:京都府立医科大学
脳の疾患のない50~80代男女 279人の唾液を調査


(2017.8.21[Mon])

身体の健康は口腔内の健康から!歯周病の予防には“歯周ポケット内の定期的な清掃”と“バランスの良い食事を取ること”がとても重要です。

 2016/6/14のコラムにも書きましたが、歯周病は感染症です。微生物(細菌)感染に対する身体の防御反応として引き起こされた炎症によって、歯肉上皮・歯肉結合組織・歯根膜の破壊、及び歯槽骨(歯を支える骨)がなくなっていく病気です。歯周病と全身疾患が関連する重要なキーワードは、「歯周病の慢性炎症の持続」です。歯周病罹患部位の局所的な炎症が、たとえ軽微であっても継続することが全身への影響を与える危険因子となります。
今回は、肺炎(誤嚥性肺炎)骨粗鬆症心筋梗塞心臓弁膜症(心内膜炎)脳血管疾患(脳梗塞)早産・低体重児出産についてご説明します。

 歯周病の予防のためには、口腔内の…特に歯周ポケット内の定期的な清掃を行うことが大変重要となります。また、生活習慣病として、歯周病は栄養摂取の状態にも影響を受けているという報告があります。健康に生活するためには、“病気への抵抗力を維持するカルシウム・ビタミンやミネラルなどの栄養成分をバランス良く食事で摂取する”ことが、身体全体のためだけでなく口腔内の健康維持のためにも役立ちます。
 歯周病予防の基本は、歯周ポケット内の清掃によるプラークコントロールであることはいうまでもありませんが、食生活の栄養にも気をつけることがかなり重要となります。

■歯周病と「肺炎(誤嚥性肺炎)」
 誤嚥性肺炎には、食事中にむせたり嘔吐によって胃内容物を肺に誤って嚥下し生じる「化学性肺炎」と、口腔内細菌を不顕性に誤嚥して生じる「細菌性肺炎」とに分けられます。高齢者には、後者による肺炎が多くなります。口腔内の細菌を含んだ唾液を、夜間睡眠中に、特にむせることなく不顕性に誤嚥することから生じることが多い肺炎です。日中の嚥下反射、咳反射については、かなり高齢に達するまで保たれることがわかっていますが、夜間の睡眠中には健常な高齢者でもこれらの反応が低下します。患者さんの状態によっては、日中においても誤嚥を起こすことがあり、それにより肺炎を起こしているケースもあります。
 ただ、「歯周病自体が誤嚥性肺炎の引き金になっている」という明確なエビデンスはありません。むしろ、歯周病を発症させ、進行させるような”不衛生な口腔内の状態“が、誤嚥性肺炎に影響を与えると言った方が適切だと思われます。つまり、口腔内を清潔に保つことが誤嚥性肺炎の予防にとても大切であると言えます。

■歯周病と「骨粗鬆症」
 骨粗鬆症は、最近大きな問題となっています。
特に女性にとっては年齢を重ねるにしたがって気になる問題です。骨粗鬆症は歯周病や骨の喪失に影響を与えます。それは、骨が破壊されて脆くなり骨折しやすくなる病気で、骨密度が少なくなり症状が進むと骨がスカスカになってしまいます。
 この症状は年齢とともに進行すると言われ、特に、女性の場合は閉経後にその進行が著しく、男性と比べても大きな骨密度の減少をしめします。この原因は女性ホルモン(エストロゲン)の減少・カルシウムやビタミンDの不足・糖尿病・慢性的運動不足などと関連すると考えられます。
 女性は、女性ホルモンが多ければ多いほど骨密度度が上がります。そして、口の中の健康にも影響を与えることがわかっています。もちろん、歯を支える顎の骨にも影響を与えますし、口腔内の炎症や歯肉炎などがおこる可能性もあります。また、妊娠しているとき、或いは歳を取るにつれて歯を失う可能性が高まります。こういったことは、すべて女性ホルモンの減少に関係していると考えられています。歯周病というのは歯茎の病気ではなく、本質的には骨の病気ですから、歯周病と骨粗鬆症が何らかの関係があるのではないかと考えられるのは自然なことです。
 これまで、骨粗鬆症状態にある人は、普通の人に比べて歯周病が悪化しやすいと考えられていましたが、最近では歯周病を治療すると骨粗鬆症の状態が改善するという症例もみられるようになりました。カルシウムが不足すると歯周病や歯の喪失のリスクが高まります。積極的にカルシウムを摂ることが、歯周病と歯の喪失を防ぐことにつながります。ですから、食生活にも十分気を配りましょう!


■歯周病と「心筋梗塞」

 心筋梗塞とは、心筋に血液を送る血管が詰まり心筋が壊死し命を失う病気です。主な原因は、動脈壁の肥厚・硬化によるものですが、長年の喫煙・高カロリー食などによる生活習慣によってもおこります。この心筋梗塞で亡くなった人の死因の血管の場所から歯周病菌が見つかりました。なぜでしょうか?それは、歯磨き不足などがきっかけになり、歯周ポケットに歯周病菌が溜まり始め、ひどく成ると歯茎が炎症を起こし出血を伴うようになります。この状態を放置すると口臭などの症状が現れます。ここまで進行すると、一部の歯周病菌はリンパ管を経て血管の中に入り込みます。
 血管に入った歯周病菌の大部分は白血球によって退治されますが、一部の菌は白血球を逃れられる性質を持っています。その性質は血小板に入り込むというものです。歯周病菌は血管の中に入り込むと血小板が異常を起こし互いに固まりやすくなるのです。つまり、歯周病菌が血管の中に入り込むと血小板は異常を起こし互いに集まり固まりやすくなるのです。歯周病を長年放置すると、歯周病菌が入り込んだ血小板が血管内で増加し、全身をめぐり、長年の生活習慣から動脈硬化がおこっていた場所に血栓となって付着し血管を防ぎ、心筋梗塞を引き起こしてしまうと考えられます。


■歯周病と「心臓弁膜症(心内膜炎)」

 心筋梗塞とは、心筋に血液を送る血管が詰まり心筋が壊死し命を失う病気です。主な原因は、心臓弁膜症など心臓の弁に障害のある人や人工弁を入れている人は、弁の周囲の血液の流れがスムーズではなく滞っている場合があります。この部分では血液中に入り込んだ細菌が心内膜に定着して増殖しやすく、それによって細菌性心内膜炎が引き起こされる可能性があります。この細菌性心内膜炎で亡くなった人の心臓から歯周病菌が検出されたことから、歯周病と細菌性心内膜炎が関係していると考えられています。


■歯周病と「脳血管疾患」
 「脳梗塞」が主要な疾患です。脳の細い動脈に血栓ができ動脈の先の脳に血液が流れなくなり、脳細胞が壊死する病気です。動脈硬化があるとその部分の血管が詰まりやすくなります。それは心疾患と同じです。

参考までに
 心疾患とは「狭心症」「心筋梗塞」「心臓弁膜症(心内膜炎)」が主な疾患となります。
 「狭心症」とは、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が狭くなって十分な血液が送られにくくなる状態のことです。さらに症状が進み、血液が全く送られなくなり心筋が壊死して命にかかわる状態が「心筋梗塞」です。「心臓弁膜症」とは、狭心症・心筋梗塞に次いで多い心疾患で、心臓の弁膜の開閉が上手くいかず心臓から全身へ血液が流れにくくなる状態です。


■歯周病と「早産」「低体重児出産」

 早産とは赤ちゃんが早すぎる時期に体が小さい状態で生まれてくることです。そのような赤ちゃんには様々な病気にかかる危険性があります。その原因は、年齢・喫煙や多胎妊娠などいくつか知られていますが、その他にも妊婦が歯周病にかかっていると低体重児になるリスクが高まることが報告されています。
 歯周病が早産のリスクを高めることは、まだ完全には明らかになっていませんが、歯周病菌やその細菌の刺激によって作られた炎症性物質が何らかのかたちで関与していると考えられます。妊娠、出産前に歯周病をしっかりと治療しておくことはとても大事なことです。


参考文献:

・ペリオドンタルメディシン 全身の健康と歯周病とのかかわり【医歯薬出版】
・歯周病と全身の健康Q&A(歯周病の予防と治療は健康を守る第一歩!)
【医学情報社】
・歯周病から守る予防歯科【歯周病予防研究会】


(2017.3.13[Mon])

虫歯はどうしてできるの?

 虫歯予防について簡単に説明してみたいと思います。
虫歯は、①宿主(歯)、②細菌(虫歯菌)、③糖質(砂糖など)、④時間この4つが関係して出来ます。(図1)
 1つでも欠けると虫歯になりません。
①宿主・・・人間の体全体のことで、ここでは歯自体のことをいいます。
②細菌・・・虫歯菌の事で、ミュータンス菌や乳酸桿菌などがあります。
③糖質・・・砂糖などのことです。
④時間・・・ステファン曲線(図2)によると、糖質(砂糖)などを摂取すると約2分位でpH5.4~5.7の臨界pH(エナメル質が脱灰し始めるpH)を通過し、5分位でpH4.8位まで達し、臨界pHを脱するまで20分位かかり、元のpHへ戻るまで約40分位かかります。(水は、pH7.0、口腔内は、弱酸性のpH6.8位です。)






 このステファン曲線だけを見ていると歯はすぐに虫歯になるように見えますが、エナメル質最表面では脱灰(エナメル質が溶けること)と再石灰化(唾液中などの成分によって脱灰前の状態に戻ること)が繰り返されています(唾液の緩衝能)。この再石灰化が出来ない状態が続くと虫歯になります。また、歯並び、唾液の量・質(さらさら・ねばねば)・成分と関係があり、歯の表面のエナメル質の強さにも深い関係があります。
 虫歯になりやすい場所は、①かみ合わせの溝の部分、②歯と歯の間の部分、③歯と歯茎の境界の部分で、ここは歯垢がたまりやすい三大不潔域といいます。
 虫歯予防は、砂糖の摂取量よりも摂取頻度に左右され、濃度、停滞時間、摂取時間帯(間食や就寝前の摂取)も大きく影響します。食後、間食後すぐに水やお茶で口をすすいで口腔内のpHを中性の方へもっていったり、フッ素塗布で歯を強くすることもよいでしょう。虫歯はいったん出来てしまえば、進行して歯を崩壊させるだけで元の状態へは決して戻りません。虫歯が出来るのは時間が必要です。毎日の歯みがきと定期的な歯科医による定期検診が必要で、本人と歯科医による共同作業によって虫歯を作らないことです。

(2016.6.15[Wed])

予防歯科

 歯垢除去(歯面清掃)は「虫歯」を作らないために・・・歯周ポケット内の汚れ除去は「歯周病」にならないためにとても重要なことです。最近では、歯周病は糖尿病の血糖値のコントロール不全・心筋梗塞・心内膜炎・脳梗塞・誤嚥性肺炎・早産・低体重児出産などとの関係も言われるようになりました。

■歯周病の影響
 歯周病は歯周病菌による慢性感染症です。微生物(歯周病菌)感染に対する身体の防御反応として引き起こされた炎症により、歯肉上皮・歯肉結合組織・歯根膜の破壊、および悪化すると歯槽骨(歯を支える骨)が溶け歯を失っていく病気です。
 右下の図にある歯周ポケットの炎症部位では、微生物「細菌」とそれを排除しようする「免疫細胞」の戦いが行われています。歯周病が全身疾患と関連する重要なキーワードは、「歯周病の慢性炎症の持続」です。歯周病罹患部位の局所的な炎症が、たとえ軽微であっても継続することで全身への影響を与える危険因子となるのです。歯周病による炎症部位の毛細血管が破壊され、そこから血液中に歯周病菌が入り込み全身へと広がっていきます。ブラッシング時に出血のある人は特に注意が必要です。



 こうしたことから、歯周病と糖尿病の血糖値のコントロール不全・心筋梗塞・心内膜炎・脳梗塞・誤嚥性肺炎・早産・低体重児出産などとの関連が報告されています。

■糖尿病と歯周病
 糖尿病と歯周病とは共に生活習慣病であり、深い相関関係にあります。糖尿病が悪化すると歯周病が悪化し、歯周病が悪化すると糖尿病が悪化します。
近年では、「糖尿病患者の歯周病を徹底的に治療することで、血糖値が改善された。」という報告が見られるようになりました。糖尿病と歯周病を同時にきちんと治療していけば、必ず双方に良い影響を与え合うでしょう。
 では、糖尿病と歯周病との関係を簡単にお話しします。
 糖尿病は、血液中のブドウ糖の割合が高くなる病気です、腎臓がそのブドウ糖を吸収できなくなり、水分である尿と一緒に体の外に排出しようとします。そのため、多量の水分が失われ、唾液の分泌量も減少し、喉や口が乾きます。唾液には食べ物を消化するだけでなく、口の中の浄化作用や組織の修復の役割があり、歯周病を防ぐ役割もあります。糖尿病のために口腔内が乾燥すると、その役割が低下して歯周病菌が繁殖しやすくなるのです。糖尿病の高血糖状態にあると、細菌を攻撃する白血球の働きも低下するので、感染症にもかかりやすくなり、感染症の一つである歯周病も発症しやすくなります。
 もう少し詳しく説明すると、糖尿病は、血液中にあるインスリンを阻害する物質が増えることでインスリンの働きが弱くなり発症します。歯茎の歯周ポケットの中で、歯周病菌と免疫細胞のマクロファージが戦うと、マクロファージからインスリンを阻害する物質が放出され、インスリンの働きが阻止されます。それによって糖尿病が悪化するわけです。この状態が続くと、体の抵抗力が下がり、歯周病菌がますます増えるという悪循環に陥ってしまします。

 また血糖値が上がると、口腔内では①口の中の乾燥・②唾液の血糖濃度の上昇・③細菌に対する抵抗力の低下・④組織の修復力の低下などの症状が見られるようになります。

①口腔内の乾燥

高血糖状態では、尿がたくさん出ます。その結果、体内の水分が減少するとともに、唾液の分泌量も減少し、喉や口の乾きという症状が現れます。そのため、歯周病菌が増殖しやすく、歯周病が進行しやすい環境になっています。唾液には食べ物を消化する働きの他に、口腔内の浄化、組織の修復などの働きがあり、歯周病を防ぐように作用しています。

②唾液の血糖濃度の上昇

唾液はもともと血液から作られるもので、高血糖状態では、糖分濃度が高くなり歯周病菌の増殖に適した状況になります。

③細菌に対する抵抗力の低下

高血糖状態の下、細菌を攻撃する白血球の働きも低下し、感染防御機構が十分に機能しなくなり、感染症(歯周病)にかかりやすくなります。

④組織の修復力の低下

歯周組織では、細菌による組織の破壊とそれを何とか修復しようとするせめぎあいが続いています。高血糖状態では、組織を修復する働きが低下することがわかっていて、同時に歯周病の進行も早くなります。


 このように糖尿病の治療のためには、歯周病の予防も大切なことなのです。
 他の病気と歯周病との関係は、今後説明していきたいと思いますが、上記のようにならないためにも、定期的な口腔内のクリーニングは、とても重要です。皆さんのお身体の健康のために、このお口のクリーニングを是非やってみませんか?不安なこと・分からないことあれば、どうぞご相談下さいね。



参考書籍:ペリオドンタルメディシン
全身の健康と歯周病のかかわり
【医歯薬出版】


(2016.6.14[Tue])

バイオ再生医療のための歯の細胞バンク Ⅱ

 現在、報告されている研究では、歯髄細胞はとくに神経細胞への分化が容易であるため、神経性の疾患の脊髄損傷、神経損傷、脳出血や脳梗塞の後遺症等を再生医療で治すことが可能になります。さらに研究がすすんだ膵臓のランゲルハンス島や肝臓の再製も可能になり、糖尿病や肝硬変の治療も自分の細胞も使ってできるようになるでしょう。
さらに心臓、肝臓、皮膚、眼、胃などの再生へと可能性が広がります。
 今後、研究が進むことで、歯髄幹細胞は、将来の病気やケガに対する自分の細胞を使ったバイオ再生医療に使われる可能性があります。また、遺伝子を調べることにより、病気の予防や治療方針の決定に役立つだけでなく、自分にあった薬を作製(創薬)できる可能性もあります。
 患者さんの将来の病気やケガをご自身の細胞で治すため、貴重な細胞をお預かりするベース基地として日本歯科大学・セントラルクリニック歯の細胞バンクを設立した。

(2015.10.2[Fri])