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2017年03月の記事

身体の健康は口腔内の健康から!歯周病の予防には“歯周ポケット内の定期的な清掃”と“バランスの良い食事を取ること”がとても重要です。

 2016/6/14のコラムにも書きましたが、歯周病は感染症です。微生物(細菌)感染に対する身体の防御反応として引き起こされた炎症によって、歯肉上皮・歯肉結合組織・歯根膜の破壊、及び歯槽骨(歯を支える骨)がなくなっていく病気です。歯周病と全身疾患が関連する重要なキーワードは、「歯周病の慢性炎症の持続」です。歯周病罹患部位の局所的な炎症が、たとえ軽微であっても継続することが全身への影響を与える危険因子となります。
今回は、肺炎(誤嚥性肺炎)骨粗鬆症心筋梗塞心臓弁膜症(心内膜炎)脳血管疾患(脳梗塞)早産・低体重児出産についてご説明します。

 歯周病の予防のためには、口腔内の…特に歯周ポケット内の定期的な清掃を行うことが大変重要となります。また、生活習慣病として、歯周病は栄養摂取の状態にも影響を受けているという報告があります。健康に生活するためには、“病気への抵抗力を維持するカルシウム・ビタミンやミネラルなどの栄養成分をバランス良く食事で摂取する”ことが、身体全体のためだけでなく口腔内の健康維持のためにも役立ちます。
 歯周病予防の基本は、歯周ポケット内の清掃によるプラークコントロールであることはいうまでもありませんが、食生活の栄養にも気をつけることがかなり重要となります。

■歯周病と「肺炎(誤嚥性肺炎)」
 誤嚥性肺炎には、食事中にむせたり嘔吐によって胃内容物を肺に誤って嚥下し生じる「化学性肺炎」と、口腔内細菌を不顕性に誤嚥して生じる「細菌性肺炎」とに分けられます。高齢者には、後者による肺炎が多くなります。口腔内の細菌を含んだ唾液を、夜間睡眠中に、特にむせることなく不顕性に誤嚥することから生じることが多い肺炎です。日中の嚥下反射、咳反射については、かなり高齢に達するまで保たれることがわかっていますが、夜間の睡眠中には健常な高齢者でもこれらの反応が低下します。患者さんの状態によっては、日中においても誤嚥を起こすことがあり、それにより肺炎を起こしているケースもあります。
 ただ、「歯周病自体が誤嚥性肺炎の引き金になっている」という明確なエビデンスはありません。むしろ、歯周病を発症させ、進行させるような”不衛生な口腔内の状態“が、誤嚥性肺炎に影響を与えると言った方が適切だと思われます。つまり、口腔内を清潔に保つことが誤嚥性肺炎の予防にとても大切であると言えます。

■歯周病と「骨粗鬆症」
 骨粗鬆症は、最近大きな問題となっています。
特に女性にとっては年齢を重ねるにしたがって気になる問題です。骨粗鬆症は歯周病や骨の喪失に影響を与えます。それは、骨が破壊されて脆くなり骨折しやすくなる病気で、骨密度が少なくなり症状が進むと骨がスカスカになってしまいます。
 この症状は年齢とともに進行すると言われ、特に、女性の場合は閉経後にその進行が著しく、男性と比べても大きな骨密度の減少をしめします。この原因は女性ホルモン(エストロゲン)の減少・カルシウムやビタミンDの不足・糖尿病・慢性的運動不足などと関連すると考えられます。
 女性は、女性ホルモンが多ければ多いほど骨密度度が上がります。そして、口の中の健康にも影響を与えることがわかっています。もちろん、歯を支える顎の骨にも影響を与えますし、口腔内の炎症や歯肉炎などがおこる可能性もあります。また、妊娠しているとき、或いは歳を取るにつれて歯を失う可能性が高まります。こういったことは、すべて女性ホルモンの減少に関係していると考えられています。歯周病というのは歯茎の病気ではなく、本質的には骨の病気ですから、歯周病と骨粗鬆症が何らかの関係があるのではないかと考えられるのは自然なことです。
 これまで、骨粗鬆症状態にある人は、普通の人に比べて歯周病が悪化しやすいと考えられていましたが、最近では歯周病を治療すると骨粗鬆症の状態が改善するという症例もみられるようになりました。カルシウムが不足すると歯周病や歯の喪失のリスクが高まります。積極的にカルシウムを摂ることが、歯周病と歯の喪失を防ぐことにつながります。ですから、食生活にも十分気を配りましょう!


■歯周病と「心筋梗塞」

 心筋梗塞とは、心筋に血液を送る血管が詰まり心筋が壊死し命を失う病気です。主な原因は、動脈壁の肥厚・硬化によるものですが、長年の喫煙・高カロリー食などによる生活習慣によってもおこります。この心筋梗塞で亡くなった人の死因の血管の場所から歯周病菌が見つかりました。なぜでしょうか?それは、歯磨き不足などがきっかけになり、歯周ポケットに歯周病菌が溜まり始め、ひどく成ると歯茎が炎症を起こし出血を伴うようになります。この状態を放置すると口臭などの症状が現れます。ここまで進行すると、一部の歯周病菌はリンパ管を経て血管の中に入り込みます。
 血管に入った歯周病菌の大部分は白血球によって退治されますが、一部の菌は白血球を逃れられる性質を持っています。その性質は血小板に入り込むというものです。歯周病菌は血管の中に入り込むと血小板が異常を起こし互いに固まりやすくなるのです。つまり、歯周病菌が血管の中に入り込むと血小板は異常を起こし互いに集まり固まりやすくなるのです。歯周病を長年放置すると、歯周病菌が入り込んだ血小板が血管内で増加し、全身をめぐり、長年の生活習慣から動脈硬化がおこっていた場所に血栓となって付着し血管を防ぎ、心筋梗塞を引き起こしてしまうと考えられます。


■歯周病と「心臓弁膜症(心内膜炎)」

 心筋梗塞とは、心筋に血液を送る血管が詰まり心筋が壊死し命を失う病気です。主な原因は、心臓弁膜症など心臓の弁に障害のある人や人工弁を入れている人は、弁の周囲の血液の流れがスムーズではなく滞っている場合があります。この部分では血液中に入り込んだ細菌が心内膜に定着して増殖しやすく、それによって細菌性心内膜炎が引き起こされる可能性があります。この細菌性心内膜炎で亡くなった人の心臓から歯周病菌が検出されたことから、歯周病と細菌性心内膜炎が関係していると考えられています。


■歯周病と「脳血管疾患」
 「脳梗塞」が主要な疾患です。脳の細い動脈に血栓ができ動脈の先の脳に血液が流れなくなり、脳細胞が壊死する病気です。動脈硬化があるとその部分の血管が詰まりやすくなります。それは心疾患と同じです。

参考までに
 心疾患とは「狭心症」「心筋梗塞」「心臓弁膜症(心内膜炎)」が主な疾患となります。
 「狭心症」とは、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が狭くなって十分な血液が送られにくくなる状態のことです。さらに症状が進み、血液が全く送られなくなり心筋が壊死して命にかかわる状態が「心筋梗塞」です。「心臓弁膜症」とは、狭心症・心筋梗塞に次いで多い心疾患で、心臓の弁膜の開閉が上手くいかず心臓から全身へ血液が流れにくくなる状態です。


■歯周病と「早産」「低体重児出産」

 早産とは赤ちゃんが早すぎる時期に体が小さい状態で生まれてくることです。そのような赤ちゃんには様々な病気にかかる危険性があります。その原因は、年齢・喫煙や多胎妊娠などいくつか知られていますが、その他にも妊婦が歯周病にかかっていると低体重児になるリスクが高まることが報告されています。
 歯周病が早産のリスクを高めることは、まだ完全には明らかになっていませんが、歯周病菌やその細菌の刺激によって作られた炎症性物質が何らかのかたちで関与していると考えられます。妊娠、出産前に歯周病をしっかりと治療しておくことはとても大事なことです。


参考文献:

・ペリオドンタルメディシン 全身の健康と歯周病とのかかわり【医歯薬出版】
・歯周病と全身の健康Q&A(歯周病の予防と治療は健康を守る第一歩!)
【医学情報社】
・歯周病から守る予防歯科【歯周病予防研究会】


(2017.3.13[Mon])