コラム| 西宮市で歯科・歯医者をお探しの方は堀歯科医院まで

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2018年04月の記事

根管治療とは何でしょう?

 根管治療とは、簡単にいうと…「歯を残すために傷んだ神経を取り除き、その取り除いた神経の穴に薬を入れる治療のこと」です。この根管治療は歯の土台の治療で、家を建てる場合の基礎工事と言えます。この基礎工事がその歯の一生を左右してしまう…それほど重要な治療です。
 歯根がしっかりしていれば、それを土台に歯を作ることができます。勿論、この根管治療は歯を削る必要もあり時間がかかります。そのため、根管治療を嫌がられる患者さんも多く、長い期間放置してしまい結果的に歯を失う例をよく見ます。そうした状態になってから、歯の治療の大事さに気がつくのです。皆さんが将来入れ歯などに頼らずにすむためにもこの治療することはとても大事なことです。 
 私は「根管治療が歯科の治療の中でも一番大事な治療で、一番難しい治療」だと考えています。

 では、その根管治療とはどのような治療なのでしょうか?
歯には、神経が入っている穴があります。この神経が死ぬと腐敗し、そこに嫌気性菌(酸素を必要としない菌)が繁殖しやすい環境となります。また、神経が死ぬとそこに血液が流れないために、その細菌を殺すことができません。その結果、根尖(歯の根の先端)に膿が出来てしまいます。この菌は、虫歯菌や歯周病菌とは全く違います。
 根尖の膿の袋が大きくなると、以下のような症状が出ます。

  • ◇根尖部の骨を溶かして膿(根尖病巣)を作ります。この根尖病巣が次第に大きくなると顎の骨を溶かし隣の歯に達するまで大きくなります。
  • ◇上の歯の臼歯部(糸切り歯から奥歯まで)だと、根尖病巣が副鼻腔(上顎洞)の壁を突き破り、歯が原因の蓄膿症になることもあります。
  • ◇下の臼歯部だと、根尖病巣が唇の知覚などを支配する下歯槽神経まで達して、唇の感覚がおかしくなることがあります。

 そのため、それを防ぐために神経が腐敗した根の穴の中を人工的に埋める必要があります。つまり、そこに薬を入れて神経の通っていた穴を密閉し、嫌気性菌がさらに繁殖できない環境を作ります。これが根管治療です。



 根尖病巣が大きく根管治療が難しい場合は以下の2通りの治療方法があります。
  • ・外科的に歯を抜歯し同時に膿を取り除く方法
  • ・歯根端切除術の方法。歯根端切除術とは、歯茎を切り歯の根の病巣に汚染された根尖と共に膿を除去する方法です。この場合抜歯はしません。

 さて、根管治療をおこなう原因とはなんでしょうか?
  • 1.虫歯が深く、神経を抜いた時
  • 2.歯が欠たり割れたことが原因で、神経を抜いた時
  • 3.神経の炎症で歯が痛くなって神経を抜いた時
  • 4.歯の神経が死んだ時
  • 5.過去の根管治療の予後が悪く、根尖病巣(根の先端の骨の中の膿)ができ、再治療が必要な時
  • 6.歯槽膿漏が原因で、根っこの先から神経が侵された時

 根管の中で細菌の増殖が活発になってくると、根っこの先の骨が溶けて膿が溜まってきます。上記の原因により、神経が炎症を起こし死んでしまうと根管治療が必要となります。

 さて、皆さんの中には歯医者で一度この根管治療をしたのにもかかわらず、しばらくしてまた「膿が溜まっている」と言われた方がおられると思います。それには理由があります。
 歯の根の穴は、人により様々な形をしている・湾曲している・分岐するなど非常に複雑な形態をしています。個人の場合でも左右の同じ部位の歯の根の形が同じ形態をしていないことも多くあります。歯の根が曲がっている場合は、それに伴って神経の穴も曲がっているため薬を入れにくく密閉しにくいため、できるだけ根の穴をまっすぐにします。完全にまっすぐにはなりませんが、こうして薬を詰めやすくすると同時に、その根の中を薬の詰め残しがないようにするのです。こうして、根の穴を薬の規格のサイズの大きさに合わせて拡大後、そこに薬を入れて密閉し、再び細菌の繁殖が起きないようにします。しかし、根の先端まで薬が届かず空洞が残っている場合に根尖病巣ができることが多いのです。つまり、神経の穴に薬を詰めきれず根の先端まできっちり密閉されないため、その空洞に嫌気性菌が繁殖し再度膿が溜まってしまいます。




 このような時に、再根管治療を行います。歯に詰めた薬を全部取り除き、新たに根尖まで薬を詰め直しますが、この“以前に詰めた薬を取り除くこと”が非常に難しいのです。




 しかし、この根管治療は歯を残すために「とても大事な治療」です。たとえ虫歯で“見えている歯の部分”がなくなったとしても、歯根がしっかり残せるときは、きちんと根管治療をして歯根さえ残していれば、 白い歯の部分を自由に作り人工の白い歯を自分の歯として残せます。しかし、痛みがそれほどない…腫れが引いてしまった…などの理由で、歯のどこかが悪いことは分っていながらも長期間放置してしまい、結局その歯を抜かなくてはならなくなる患者さんが多いのです。また、歯根の治療は一回の消毒では終わらないことがあります。この消毒が不十分だと膿が再度溜まってしまい、さらに悪化してしまう原因になります。

 確かに痛みを伴う歯の治療は嫌なものですが、「歯茎が腫れる」「歯が傷む」などの症状があるときには、ご自身のために是非歯医者さんに行ってみましょう!




(2018.4.12[Thu])

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